賢士の訓え

 このページでは、中国古代の思想家・兵法家たちが残した名言や格言を掲載しています。人生の厳しい局面において、覚えていればきっと役に立つものばかりです。賢士の訓えに耳を傾け、あなたの「座右の銘」となる格言を探してみませんか?

孫子‐謀攻篇より

 百戦百勝は善の善なるものに非(あら)ざるなり。
 戦わずして人の兵を屈するが、善の善なるものなり。

(意味)
百回戦って百回勝っても、それは最上の勝ち方ではない。争わずに敵を屈服させることが最上の勝ち方なのである。

論語より

 質、文に勝てば則ち野。文、質に勝てば則ち史。
 文質彬彬(ひんひん)として、然る後に君子なり。

(意味)
中身が外見より優れた者を野(野暮)と云い、外見が中身より優れた者を史(気取り屋)と云う。外見と中身が共にバランス良く調和しているのが、真の君子である。

孫子‐地形篇より

 戦道必ず勝たば、
 主は戦う無かれと曰うも必ず戦いて可なり。
 戦道勝たずんば、
 主は必ず戦えと曰うも戦う無くして可なり。

(意味)
必勝の見通しがつけば、主君が戦うなと言っても戦うべきである。逆に勝つ見込みが無い場合は、主君が戦えと言っても戦ってはならない。

論語より

 学びて思はざれば則ち罔(くら)し。
 思ひて学ばざれば則ち殆(あやう)し。

(意味)
学ぶだけで思索しなければ、道理がよくわからない。思索するばかりで学ぶことをしなければ、独断に陥って危険である。

論語より

 君子は周して比せず、小人は比して周せず。

(意味)
立派な人物は人と広く親しみ一部の人間におもねることはないが、心の小さな人物は一部の人におもねりあって人と広く親しまない。

孫子‐行軍篇より

 卒、未だ親附(しんぷ)せざるに之を罰すれば服せず、
 服せざれば則ち用い難きなり。

(意味)
まだ馴染んでいない部下に、規律で厳しくあたったのでは心服せず、また心服しない部下を扱うのは難しい。

易経より

 君子は豹変し、小人は面(おもて)を革(あらた)む。

(意味)
偉大な人物は日夜精進して自己の成長をはかるが、凡人は外面のみが変わって内面的に成長することがない。

孫子‐虚実篇より

 能(よ)く敵人をして自ら至らしむるは、之を利すればなり。

(意味)
敵が自ずからこちらに向かって来るように仕向けるには、こちらへ来れば利があるように思わせればよい。

論語より

 奢れば則ち不孫、倹なれば則ち固(いや)し。
 其の不孫ならんよりは寧ろ固しかれ。

(意味)
人は贅沢な行いをしていると思い上がり、倹約していると頑固になる。しかし思い上がるよりはむしろ頑固である方がよい。

論語より

 詐(いつわ)りを逆(むか)えず、
 信ぜられざるを億(おしはか)らず、
 抑々亦た先ず覚る者は、是れ賢か。

(意味)
騙されないかと手回しもせず、人から疑われないかと考えはかることもしないのに、人の心情に早く気が付き察することのできる者、これが賢者であろう。

六韜‐豹韜より

 弱きを以って強きを撃つは、
 必ず大国の与と隣国の助けとを得よ。

(意味)
弱い兵力で強敵を打ち倒すためには、必ず大国と盟約を結び、隣国から援助を求めなければならない。

孫子‐九地篇より

 始めは処女の如く、敵人戸を開くや後は脱兎の如く。
 敵、拒(ふせ)ぐに及ばず。

(意味)
始めは処女のように弱々しく見せかけ、敵が隙をみせた後は脱兎のように襲い掛かれば、敵はこれを防ぐことができない。

論語より

 巧言令色、鮮(すく)なし仁。

(意味)
口先がうまく、顔色を和らげて人を喜ばせ、媚びへつらう者は、仁の心に欠けるというものだ。

花鏡より

 初心忘るべからず。

(意味)
学び始めた当時の未熟さや経験を忘れてはならない。常に志した時の意気込みと謙虚さをもって事に当らねばならない。

六韜‐文韜より

 君子はその志を得るを楽しみ、
 小人はその事を得るを楽しむ。

(意味)
立派な人物の楽しみは志を実現することであり、心の小さな人物の楽しみは物を得ることである。

老子より

 知る者は言わず、言う者は知らず。

(意味)
道を知る者は自分の知識を見せびらかすことはない。自慢する者はまだ道を修得していないということだ。

孫子‐謀攻篇より

 彼を知り己を知れば、百戦して殆(あや)うからず。

(意味)
敵の実情を把握し、自己の能力を心得ていれば、何度戦をしようとも危険はない。

論語より

 先ず其の言を行い、而して後にこれに従う。

(意味)
まずその言わんとしている物事を実際に実行してから、あとで発言をすべきである。

六韜‐竜韜より

 善く戦う者は、利を見て失わず、時に遇(あ)いて疑わず。

(意味)
上手く戦う人物は、有利と見たらそれを見逃さず、好機と見たら迷わずに行動を起こす。

三国志より

 読書百偏而(しか)して義自ら見(あらわ)る。

(意味)
書物を百回も繰り返して読めば、そこに書かれている意味は自ずから解ってくる。

論語より

 人の己れを知らざることを患(うれ)えず、
 人を知らざることを患う。

(意味)
他人が自分を知ってくれないことに愚痴をこぼさず、自分が人を知らないことに気をかけるべきだ。

論語より

 速やかならんと欲すること毋(な)かれ。

(意味)
早く成果を挙げようと思ってはならない。また小さな利益を気にかけてはならない。何事も焦っては成功せず、小利に気をとられると大利を得ることはできない。